白髪染めをしてから初めてシャンプーをしたとき、泡がうっすら茶色くなっていたり、すすぎのお湯が色づいて流れていったりして、驚かれたことはないでしょうか。「せっかく染めたのに、もう色が抜けてしまっているのでは」「洗わないほうがよかったのかしら」と不安になる方は少なくありません。40〜60代のお客様からも、染めたあとのシャンプーについて、このようなご質問をよくいただきます。

実は、白髪染めのあとにシャンプーで色が出ること自体は、珍しいことではありません。ただ、「よくある範囲の色の出方」と「少し見直したほうがよい色の出方」があるのも確かです。この記事では、シャンプーで色が出る仕組みと、いつごろ落ち着くのかの目安、そして色をなるべく守りながら洗うためのコツを、美容師の視点で整理してお伝えします。

最初の数回で色が出るのは、表面に残った余分な色が流れているため

はじめに要点をお伝えすると、白髪染めのあと最初の2〜3回のシャンプーで泡やお湯に色がつくのは、多くの場合、髪の表面や頭皮に残っていた余分な色の成分が流れているためです。髪の内側に入って定着した色が、そのまま全部流れ出ているわけではありません。回数を重ねるうちに色の出方が落ち着いてくるなら、心配しすぎなくて大丈夫です。

白髪染めは、髪の内側に色の成分を届けて発色させる仕組みです。ただ、塗った薬剤のすべてが髪の内側に入るわけではなく、表面にとどまったものや、髪と髪のすき間、頭皮の上に残ったものもあります。美容室では施術のあとにていねいに流していますが、それでも毛量が多い方や髪が長い方、根元までしっかり塗った方ほど、わずかな残りが次のシャンプーで出てくることがあります。

一方で、何回洗っても濃い色が出続ける、色が出るたびに髪の色が目に見えて明るくなっていく、という場合は、洗い方やお湯の温度、使っているシャンプーの洗浄力が、色の抜ける速さに影響している可能性があります。大切なのは、「色が出た」こと自体に慌てるのではなく、「回数を重ねて落ち着いていくかどうか」を見ることです。

白髪染めのあとシャンプーで色が出る流れ|髪の表面に残った余分な染料が、最初の数回の洗髪で少しずつ流れていく

なぜ白髪染めのあとは色が出やすいのか

もう少しだけ、髪の仕組みに触れておきます。仕組みがわかると、洗い方の判断がしやすくなります。

髪の表面は、うろこ状に重なった「キューティクル」という層で覆われています。白髪染めは、この層をいったん開いて髪の内側に色の成分を届け、そこで発色させています。染め終わったあとは徐々に元の状態へ戻っていきますが、閉じきるまでにはしばらく時間がかかります。染めてすぐの髪は、いわば扉が少しだけ開いている状態で、表面にとどまっていた色や、定着しきっていない色が外へ出ていきやすくなっています。

もうひとつ関係するのが、髪そのもののダメージです。毛先のように、これまでのカラーや紫外線、熱の影響を受けてきた部分は、表面が傷んで色を抱えておく力が弱くなりやすい傾向があります。同じ日に染めても、根元より毛先のほうが色が出やすいのはそのためです。40〜60代になると、髪が細くなったり乾燥しやすくなったりと髪質そのものも変わってくるため、以前より色が出やすくなったと感じる方もいらっしゃいます。

また、染め方によっても色の出方は変わります。ご自宅で染めた場合は、すすぎが十分でないまま乾かしてしまうことがあり、次のシャンプーで残っていた薬剤ごと色が流れやすくなります。髪の表面に色をつけていくタイプのカラートリートメントは、もともと表面にとどまる色が多いため、洗うたびに少しずつ色が出るのが一般的です。「同じ白髪染めでも、出方が違うのは自然なこと」と知っておくだけでも、驚きは少なくなると思います。

選んだ色味によっても、見え方は少し変わります。白髪をしっかりなじませるために暗めの色や赤み・茶みの強い色を選んだ場合は、流れ出る色も目につきやすく、「こんなに出て大丈夫?」と感じやすいものです。反対に、明るめのベージュやグレージュ系は、泡の色づきに気づきにくいこともあります。色が目立つかどうかと、実際に抜けている量は必ずしも一致しないため、泡の色だけで判断しすぎないことも大切です。

色が落ち着くまでのシャンプーのしかた

では、染めてから色が落ち着くまでの数日間、どのように洗えばよいのでしょうか。ポイントは、色の成分が外へ出ていくきっかけをなるべく減らすことです。

まず意識していただきたいのが、お湯の温度です。熱いお湯はキューティクルを開きやすくし、色が流れ出るきっかけになります。38度前後のぬるめのお湯を使うだけで、髪への負担はずいぶん変わります。冬場など、つい熱めのシャワーを使いたくなる季節は特に気をつけたいところです。

次に、洗い方です。シャンプーは手のひらで軽く泡立ててから頭皮にのせ、指の腹で小さく動かすように洗います。髪同士をこすり合わせるように洗うと、表面の摩擦が増えて色が出やすくなります。毛先は泡を通す程度で十分です。すすぎは、泡が残らないよう時間をかけてていねいに行ってください。すすぎ残しは頭皮のかゆみの原因にもなりやすいので、生え際、えりあし、耳のうしろは特に意識して流しましょう。

シャンプーの種類を見直すのもひとつの方法です。洗浄力の強いシャンプーは、皮脂と一緒に色も落としやすくなります。アミノ酸系など、洗い上がりがやさしいタイプのシャンプーを選ぶと、色持ちと頭皮の心地よさの両方を大切にしやすくなります。シャンプー選びについては、白髪染め後の自宅シャンプー選び方でも詳しくご紹介しています。

洗ったあとは、タオルで髪を包み込むように押さえて水分を取り、早めにドライヤーで根元から乾かしてください。濡れた髪は色が移りやすく、摩擦にも弱い状態です。自然乾燥のまま眠ってしまうと、枕やタオルに色が移るだけでなく、髪の表面も傷みやすくなります。

「洗わないほうがいい」と我慢しなくて大丈夫

色が出るのが心配で、「しばらくシャンプーをしないほうがよいのでは」と考える方もいらっしゃいます。確かに、染めた当日は色が落ち着いていく途中にあるため、美容室で染めた日はそのまま洗わずに過ごしていただいて差し支えありません。ただ、色を守るために何日も洗うのを我慢する必要はありません。

汗や皮脂を頭皮にためたままにしておくと、むれやかゆみ、においの原因になりやすくなります。染めたあとの頭皮は、ふだんより少し敏感になっていることもあるため、清潔に保つことはむしろ大切です。色を守るうえで効いてくるのは、洗う回数を減らすことよりも、ぬるめのお湯で、こすらずに、ていねいにすすぐという「洗い方」のほうです。染めた日の過ごし方について詳しく知りたい方は、白髪染めをした日の過ごし方もあわせてご覧ください。

また、色が出ていることと、髪の色がどんどん抜けていることは、必ずしも同じではありません。すすぎのお湯が色づいていても、乾かしたあとの髪の色が大きく変わっていなければ、表面の余分な色が流れているだけという場合がほとんどです。気になるときは、洗う前と乾かしたあとの髪色を、明るい場所で見比べてみてください。

タオルや枕への色移りが気になるとき

シャンプーのときの色と同じくらいよくいただくのが、「白いタオルに色がついた」「朝起きたら枕カバーがうっすら色づいていた」というご相談です。これも、髪の表面に残っていた色が、濡れた状態のときに移っているものがほとんどです。

色移りをなるべく抑えるためには、濡れている時間を短くすることがいちばんの近道です。洗ったあとはタオルで髪をはさむように押さえて水分を吸い取り、ごしごしとこすらないようにします。そのあとはすぐにドライヤーで根元から乾かし、毛先まで乾いたことを確かめてから横になってください。髪が長い方は、乾かしたあとにゆるくまとめておくと、枕との摩擦も減らせます。

染めてから数日のあいだは、色が目立ちにくい濃い色のタオルや枕カバーを使うのもひとつの工夫です。汗をかきやすい季節は、寝ている間の汗で色がにじむこともありますので、寝具を清潔に保つことも意識してみてください。カラートリートメントを使っている方は色移りが起きやすい傾向があるため、カラートリートメントの色移り対策も参考にしていただければと思います。

相談したほうがよいサインと、美容室で伝えたいこと

多くの場合、白髪染めのあとの色の出方は時間とともに落ち着いていきます。ただ、次のようなときは一度立ち止まって、洗い方や染め方を見直すきっかけにしてみてください。

ひとつは、何回洗っても濃い色が出続け、髪の色が目に見えて早く明るくなっていく場合です。お湯の温度やシャンプーの洗浄力のほかに、毛先のダメージが進んでいて色を抱えておけなくなっていることも考えられます。このようなときは、毛先の傷み具合に合わせて薬剤の選び方や塗り方を変えたり、毛先には色を補う程度にとどめたりと、状態に合わせた方法を一緒に検討できます。

もうひとつは、色が出ることと同時に、頭皮のかゆみや赤み、ぴりぴりとした刺激を感じる場合です。すすぎ残しが原因のこともありますので、まずはぬるめのお湯でていねいに流してください。それでも翌日以降も症状が続く場合や、はれ・強い痛みがある場合は、我慢せずに皮膚科など医療機関にご相談ください。美容室は医療機関ではないため、頭皮の症状そのものを診ることはできませんが、そのときの様子を担当の美容師に伝えていただければ、次に染めるときの薬剤選びや、頭皮に薬剤をつけにくい塗り方を検討する大切な材料になります。

美容室で相談するときは、「最初のシャンプーでどのくらい色が出たか」「何回目くらいで落ち着いたか」「タオルや枕に色が移ったか」といったことを、覚えている範囲でお話しいただけると助かります。こうした情報から、髪のダメージの度合いや、今の薬剤が髪に合っているかどうかを考える手がかりが得られます。三島市や沼津市など近くの美容室で相談される場合も、こうした細かなことを落ち着いて話せる雰囲気かどうかを、ひとつの目安にしてみてください。

白髪染めのあと、すすぎ湯の色づきの見分け方|シャンプーで髪の色が出たときは、続き方と頭皮の様子で対応を変える

色が出ても慌てず、洗い方で色持ちを守る

白髪染めのあと、シャンプーの泡やすすぎのお湯に色がつくのは、多くの場合、髪の表面や頭皮に残っていた余分な色が流れているためです。最初の2〜3回で落ち着いていくようであれば、心配しすぎる必要はありません。その間は、ぬるめのお湯を使うこと、髪同士をこすらずに洗うこと、ていねいにすすいで早めに乾かすことを意識していただくと、色を守りながら頭皮も清潔に保ちやすくなります。

とはいえ、髪のダメージの度合いや頭皮の状態、染め方によって、色の出方は一人ひとり違います。何回洗っても色が出続ける、以前より色の抜けが早くなった気がする、頭皮の刺激も気になるといったときは、今の髪と頭皮の状態に合わせた薬剤や洗い方を見直すよい機会です。気になることがあれば、これまでの色の出方も含めて、担当の美容師にご相談ください。