「朝ブラシでとかすと、ブラシに絡まっている髪の量が前より増えた気がする」「とかすたびに静電気で広がってしまう」「毛先が引っかかって、うまくとおらない」——40〜60代の女性から、ブラッシングについてこうしたお声をよくいただきます。
毎日の何気ない動作だからこそ、気になり始めると不安になってしまうものです。
ブラッシングは、髪を整えるためのいちばん身近なお手入れです。ただ、ブラシには種類ごとに得意な場面があり、選び方やとかす順番によって、髪や頭皮への当たり方は変わってきます。
シャンプーやトリートメントは見直したけれど、ブラシは何年も同じものを使っている——そんな方は少なくありません。この記事では、40〜60代の髪に合うブラシの選び方と、負担をかけにくいブラッシングの手順を、美容師の視点で整理してお伝えします。
ブラシは目的で選ぶ
- とかすのは基本的に乾いた髪
- 毛先から順にほぐす
- 毎日のとかしにクッションブラシ、もつれをほどくのに目の粗いコーム。この2つがあれば、日常のケアはひととおりまかなえる
ブラシは目的で選び、乾いた髪を毛先からほぐす
覚えておきたい3つ
ブラッシングで迷ったときに覚えておいていただきたいのは、次の3つです。
- ブラシは目的で選ぶ
- とかすのは基本的に乾いた髪
- 毛先から順にほぐす
この3つがそろっているだけで、引っかかりや切れ毛のもとになる力のかかり方は、かなり変わってきます。
ブラシは目的で選ぶ
まず、ブラシは種類によって役割が違います。頭皮までやさしく届かせたいのか、乾かしながら毛流れを整えたいのか、もつれをほどきたいのか——目的がはっきりすると、選ぶべき形は自然と絞られます。
「なんとなく使いやすそう」で選ぶより、いま自分がブラシに何をしてほしいのかを決めるほうが、失敗が少なくて済みます。
とかすタイミングと順番
次に大切なのが、とかすタイミングと順番です。髪は濡れているとやわらかくなり、外からの力に弱くなると言われています。お風呂上がりにかたいブラシで根元から一気にとかすのは、髪にとって負担の大きい扱い方です。
乾いた状態で、毛先のもつれをほどいてから中間、最後に根元、という順番に変えるだけで、引っぱる力はぐっと小さくなります。順番を変えることには費用もかかりませんので、今日から試していただけるところです。

40〜60代の髪にブラッシングが関わってくる理由
髪の変化
若い頃と同じようにとかしているのに、以前より引っかかりを感じる——そう感じる方が増えるのには、髪と頭皮の変化が関わっています。
40代を過ぎたころから、髪は少しずつ細くなったり、内側のうるおいを保つ力が変わってきたりします。これは手入れ不足ではなく、誰にでも起こる自然な変化です。
細くなった髪は、太い髪に比べて外からの力の影響を受けやすくなります。同じ強さでとかしていても、髪の側の受け止め方が変わってきている、というわけです。
カラーを続けている方の髪
白髪染めやカラーを続けている方の場合、髪の表面がわずかに変化して、指どおりが以前と違って感じられることもあります。そこにうねりや広がりが加わると、髪同士が絡まりやすくなり、ブラシがとおりにくくなります。
「絡まるからしっかりとかす」という対処をすると、引っぱる力が強くなって、切れ毛や短い浮き毛が増える一因になることもあります。
絡まりを感じたときほど、力ではなく順番で解きほぐす、という考え方が役に立ちます。
頭皮の変化
頭皮の側にも変化があります。年齢とともに乾燥を感じやすくなる方は多く、乾燥した頭皮はちょっとした刺激を敏感に感じ取ることがあります。
ピンの先が欠けたブラシや、当たりのかたいブラシでこするようにとかすと、頭皮に負担がかかりやすくなります。反対に、やわらかい当たりのブラシで心地よい強さでとかすことは、頭皮環境を整えるサポートのひとつとして無理なく続けられるお手入れです。
ブラシの種類と、向いている場面
よく使われる4つのタイプ
売り場に並ぶブラシは形も素材もさまざまですが、40〜60代の日常のケアでよく使われるものは、いくつかのタイプに整理できます。
それぞれ得意な場面が違うので、自分の目的と照らし合わせてみてください。
- クッションブラシ:土台がゴムのクッションになっていて、ピンが適度に沈むタイプです。頭皮に当たったときの力が逃げやすく、当たりがやわらかいのが特徴です。毎日のとかしや、乾かす前に髪をほぐす場面など、幅広く使いやすいので、まず1本という方に選ばれることの多いタイプです。ピンの先が丸く加工されているものを選ぶと、頭皮への当たりがさらにやさしくなります。
- 目の粗いコーム(くし):もつれをほどくことが得意です。ピンの間隔が広いぶん、絡まった部分に無理な力がかかりにくく、お風呂上がりの半乾きの髪や、洗い流さないトリートメントをなじませるときにも使いやすい道具です。1本持っておくと、引っかかりを感じたときの逃げ道になります。
- 獣毛ブラシ(豚毛・猪毛など):動物の毛を使ったもので、髪の表面を整えて自然なつやを出しやすいのが特徴です。静電気が起きにくいと言われており、乾燥する季節に手に取る方も多いタイプです。ただし毛が密なぶん、もつれた髪をほどく用途には向きません。先にコームでほぐしてから仕上げに使う、という順番にすると力を発揮しやすくなります。
- デンマンブラシやロールブラシ:ドライヤーで乾かしながら毛流れを整えたり、毛先の動きをつけたりするためのブラシです。仕上がりを整えるのが得意な一方、熱を当てながら引っぱる場面が多くなるので、毎日のとかしを兼ねる道具としては負担が大きくなりがちです。スタイリングの道具、と役割を分けて考えるとよいでしょう。
まず揃えるなら
すべてをそろえる必要はありません。毎日のとかしにクッションブラシ、もつれをほどくのに目の粗いコーム——この2つがあれば、日常のケアはひととおりまかなえます。
髪と頭皮に負担をかけにくいとかし方の手順
とかす手順の4ステップ
道具が決まったら、次はとかし方です。順番を少し変えるだけで、髪にかかる力は変わります。
- とかす前に毛先の様子を見ます 絡まっている部分があれば、いきなりブラシを入れず、手ぐしや目の粗いコームで軽くほどいてください。乾燥が気になるときは、洗い流さないトリートメントを少量なじませてからにすると、指どおりが軽くなって引っかかりにくくなります。
- 毛先から中間、最後に根元 という順番でとかします。根元から一気に下ろすと、途中の絡まりを毛先に押し集めてしまい、その部分に力が集中します。毛先のもつれを先にほどいておけば、あとからとおすブラシはすっと抜けていきます。片手で髪の中間を軽く押さえておくと、引っぱられる力が頭皮まで伝わりにくくなり、ひっぱられる感じが和らぎます。
- 力の強さは「気持ちよい」と感じる程度 が目安です。頭皮をこするように押しつけたり、ピンを立てて強く当てたりすると、頭皮への負担になります。頭のうしろや耳のうしろは自分では見えにくく、力加減が強くなりがちなので、意識してゆっくり動かしてみてください。
- とかす回数は、多ければよいというものではありません 「100回とかすとつやが出る」といった言い伝えを耳にすることがありますが、摩擦の回数が増えれば、そのぶん髪の表面への負担も増えます。朝の身支度のときと、夜のシャンプー前に軽くほぐす程度で十分です。シャンプー前にとかしておくと、髪のもつれがほどけた状態で洗えるので、洗っている最中の絡まりを減らすことにもつながります。
濡れた髪のとき
濡れた髪については、先ほど触れたとおり、かたいピンのブラシは避けたいところです。どうしてもとかしたいときは、目の粗いコームか、濡れた髪に使えると表示のあるブラシを選び、毛先から少しずつほぐしてください。
タオルでごしごし拭いてから一気にとかす、という流れは、髪の表面に負担が重なりやすい組み合わせです。タオルは押さえるように水気を取ると、そのあとのとかしが楽になります。
ブラシのお手入れと、替えどきの見きわめ
ブラシを清潔に保つ
意外と見落とされがちなのが、ブラシそのものの手入れです。毎日髪と頭皮に触れる道具ですから、清潔さと状態を保っておきたいところです。
ブラシには、抜けた髪のほか、皮脂やスタイリング剤、ほこりが少しずつたまっていきます。汚れがついたままのブラシでとかすと、せっかく洗った髪にそれを戻してしまうことにもなります。
抜けた髪は、気づいたときに取り除く習慣をつけておくと楽です。コームの背やピンセットを使うと、絡んだ髪もまとめて引き出せます。
素材に合わせた洗い方
洗い方は、ブラシの素材によって変わります。木製の土台や獣毛のブラシは、水に長くつけると傷みやすいので、ぬるま湯にシャンプーを薄く溶いたものにピンの先だけを浸し、汚れを落としたら水気をよく切って、ピンを下に向けて陰干しします。
プラスチック製のものは比較的水に強いですが、いずれの場合も、しっかり乾かしてからしまうことが大切です。クッション部分に水が残ると、傷みの原因になります。
替えどきの見きわめ
替えどきの目安は、ピンの先の欠け・クッションのへたり・毛の抜けの3つです。ピンの先端についている丸い玉が取れてしまったものは、先が尖った状態で頭皮に当たるため、そのまま使い続けたくありません。
クッションが沈んだままもどらないものは、力を逃がす働きが弱まっています。獣毛ブラシは毛が抜けて隙間ができてくると、髪をとらえる力が落ちてきます。
ブラシの替えどきの目安
- ピンの先の欠け
- クッションのへたり
- 毛の抜け
「まだ使えるから」と長く使っている方は多いのですが、道具の状態は、とかし方の丁寧さと同じくらい仕上がりに関わってきます。
年に一度、季節の変わり目などに手持ちのブラシを並べて見直してみると、傷みに気づきやすくなります。
美容室で相談するときに伝えたいこと
相談してみる
自分でブラシを替えてみても引っかかりが取れない、抜ける量の変化が気になる——そんなときは、美容室で相談してみるのもひとつの方法です。
美容師は髪に直接触れながら、乾燥の具合や表面の状態、白髪染めやカラーの履歴をふまえて、いまの髪に合った扱い方をお伝えできます。
気になることをそのまま伝える
相談するときは、「朝とかすと毛先が引っかかる」「夕方になると広がる」「短い浮き毛が目立つようになった」など、ふだん気になっていることをそのまま伝えていただくと、原因を探りやすくなります。
あわせて、いま使っているブラシを持参していただくと、当たり方やピンの状態をその場で確認しながら、力加減やとかす順番をお見せすることもできます。
言葉で聞くより、実際に手を動かして見ていただくほうが、ご自宅で再現しやすくなります。
相談するタイミング
タイミングは、カットや白髪染めで来店されたときに合わせると無理がありません。施術中は髪に触れてもらえるので、乾燥やもつれやすい部分を見ながら話を進められます。
ブラシだけの話にとどまらず、乾かし方や洗い流さないトリートメントの使い方まで含めて整理できると、毎日のケア全体が軽くなります。
三島市周辺で美容室を探す場合も、道具や商品をすすめられるだけでなく、髪と頭皮の状態を見ながら一緒に考えてくれるかどうかを目安にすると安心です。

今日からできるブラッシングの見直し
押さえておきたい3つ
ブラッシングは、道具と順番を少し見直すだけで、髪と頭皮への当たり方が変わるお手入れです。目的に合ったブラシを選び、乾いた髪を毛先からほぐし、気持ちよいと感じる強さでとかす——この3つを押さえておけば、毎日の動作が髪の負担になりにくくなります。
髪の変化に合わせて見直す
40〜60代の髪は、細さやうるおいの具合が少しずつ変わっていく時期にあります。以前と同じとかし方で引っかかりを感じるようになったのは、扱い方が悪くなったからではなく、髪の側の変化に道具や順番が追いついていないだけかもしれません。
ブラシを1本見直すこと、順番をひとつ変えることから始めていただければ十分です。引っかかりや抜ける量の変化が気になるとき、どのブラシを選べばよいか迷うときは、いまの髪の状態やこれまでのカラーの履歴を美容師にお伝えいただきながら、ご相談ください。
この記事のまとめ
- ブラシは目的で選び、乾いた髪を毛先から順にほぐす
- 日常のケアは、クッションブラシと目の粗いコームの2本でひととおりまかなえる
- 力の強さは「気持ちよい」程度で、とかす回数は多ければよいわけではない
- ブラシはお手入れと替えどきも見直す
- 引っかかりや抜ける量が気になるときは、美容師に相談する




