白髪染めのあと髪がごわつく・きしむ方へ|手ざわりが戻るまでの整え方

美容室で白髪染めをした帰り道、鏡に映る髪はきれいに落ち着いていたのに、家で二度、三度とシャンプーをするうちに、なんだか手ざわりが変わってきた。指が途中で止まる、乾かしたあとに毛先が硬く感じる、まとめようとするとバサついてまとまらない。「染める前のほうが柔らかかった気がする」と感じて、少し不安になった経験はないでしょうか。
40〜60代になると、この変化を以前より感じやすくなります。髪そのものが細く乾きやすくなっているところに、白髪染めを数週間ごとに続けているのですから、手ざわりの揺れが出やすいのは自然なことでもあります。ここでは、白髪染めのあとに髪がごわつく・きしむのはなぜなのか、感じ方から原因をたどる見方、そして手ざわりを整えていくケアの順番を、美容師の視点で順に整理していきます。
染めた直後のごわつきは、数日のうちに感じ方が変わっていきます
先にお伝えしたいのは、染めた直後に感じるごわつきの多くは、髪が固く傷んでしまってそのままになるというより、染めるあいだに変わった髪の状態がまだ落ち着いていないところから来ている、ということです。この時期の髪は、水分や油分の収まりどころが一時的にずれた状態にあります。時間とともに落ち着いていく部分があるため、数日から一週間ほどのあいだに、手ざわりが少しずつ変わっていくことがよくあります。
そのため、ごわつきを感じたときに真っ先にすべきなのは、強いトリートメントを買い足すことではありません。まず見直したいのは、洗う・補う・乾かすという毎日の三つの動きの順番と力加減です。染めたあとの髪は、水を含んだときに柔らかくなりすぎて傷つきやすい状態でもあるので、良かれと思って手数を増やすほど、かえって手ざわりが落ち着かなくなることがあります。
もうひとつ大切なのが、ご自身の感じ方を少していねいに見分けておくことです。ひとことで「ごわつく」と言っても、濡れているときにきしむのか、乾かしたあとに硬いのか、毛先だけ引っかかるのかで、背景にあるものは違います。感じ方が分かると、どこに手を入れればよいかがはっきりします。次の章から、その中身を順に見ていきましょう。

白髪染めのあいだ、髪の内側では何が起きているのか
手ざわりの変化を理解するには、染めているあいだに髪に何が起きているかを知っておくと分かりやすくなります。少しだけ仕組みの話にお付き合いください。
髪の表面は、キューティクルと呼ばれるうろこ状の層が瓦のように重なってできています。これがぴったりと閉じているとき、髪の表面はなめらかで、指がすっと通ります。ツヤに見えるのも、この面がそろって光を返しているからです。
一般的な白髪染め(ヘアカラー)は、この閉じた層をいったん開いて、内側に色のもとを届け、そこで発色させる仕組みになっています。層を開くために薬剤はアルカリ性に傾けてあり、髪はその働きで水を含んでふくらみます。染め終わってからシャンプーや後処理でこの傾きを戻していきますが、髪の内部にはアルカリの働きがしばらく残ることがあります。専門的には残留アルカリと呼ばれ、これがあるあいだは、キューティクルの閉じ方がいつもより甘くなります。
閉じ方が甘い髪は、表面がわずかにざらつき、指が引っかかりやすくなります。同時に、内側にとどめておきたい水分や、髪をしなやかに保つ成分が外へ出ていきやすい状態でもあります。染めた直後にごわつきやきしみを感じるのは、この二つが重なっているからです。
さらに、白髪染めは数週間ごとに繰り返すものですから、同じ場所が何度も染められているという事情もあります。とくに毛先は、根元より何回も多く薬剤に触れてきた部分です。表面の層はすり減り、内側の成分も少しずつ抜けています。同じ日に染めても、根元は指どおりがよいのに毛先だけ硬い、という差が出るのはこのためです。
年齢による変化も重なります。40代を過ぎたころから、髪は一本一本が細くなり、内側にとどめられる水分の量も変わってきます。もともと乾きやすくなっている髪に染めることが加わるので、若いころは気にならなかった手ざわりの揺れが、はっきりと感じ取れるようになるのです。「以前と同じ染め方をしているのに、最近ごわつくようになった」という声をよくいただきますが、変わったのは染め方ではなく、受け止める側の髪だった、ということが少なくありません。
感じ方の違いから、ごわつきの出どころをたどる
ここからは、ご自身の感じ方を手がかりに原因をたどっていきます。次の四つのうち、どれに近いかを思い浮かべながら読んでみてください。
洗っている最中に、きしんで指が止まる。 濡れているときのきしみは、表面のなめらかさが足りていないときに出やすい感じ方です。染めたあとしばらくは、キューティクルの閉じ方が甘いぶん、水を含むと表面同士が引っかかりやすくなります。ここで無理に指を通そうとすると、柔らかくなっている髪を傷めてしまいます。シャンプー剤の洗浄力が強すぎる場合にも、同じ感じ方が出ます。
乾かしたあとに、全体が硬くこわばる。 乾いてから硬いと感じるときは、水分が足りていないか、あるいは髪に何かが残っている場合があります。すすぎが足りずにトリートメントの成分が残っていると、乾いたときに膜のように固まって、ごわついた手ざわりになることがあります。反対に、ドライヤーを一か所に当て続けて乾かしすぎている場合も、同じように硬く感じます。
毛先だけが引っかかり、根元は平気。 これは、繰り返し染めてきた分の差が出ている状態です。毛先は積み重ねの分だけ表面がすり減り、内側の成分も抜けています。全体に同じケアをしていると、毛先だけ足りないという状態が続きます。この場合は、つける位置を変えるだけでも感じ方が変わります。
根元はべたつくのに、毛先はパサつく。 ケア用品を全体に均一につけている方に多い感じ方です。地肌に近いところは皮脂があるため油分が余りやすく、毛先は不足したままになります。同じ一本の髪でも、必要なものは場所によって違うと考えていただくと分かりやすいと思います。
複数が重なっていることもよくあります。まずはいちばん強く感じるものから手を入れて、様子を見ながら次に進むと、何が効いたのかが見えやすくなります。
染めた日からの数日、手ざわりを整えるケアの順番
原因の見当がついたところで、日々のケアを整えていきます。特別な道具は要りません。順番と力加減を変えるだけで、感じ方はずいぶん違ってきます。
まず洗い方です。染めたあとの数日は、洗浄力の強いシャンプーを避け、アミノ酸系など洗い上がりのやさしいものを選ぶと、必要なものまで流しすぎずに済みます。髪同士をこすり合わせるのではなく、地肌を指の腹で動かして洗い、泡が毛先を通っていくくらいの感覚で十分です。湯の温度も見直したいところで、熱いお湯は気持ちよく感じられる一方、髪と地肌の油分を必要以上に流してしまいます。ぬるめの湯で、すすぎは長めを心がけてください。すすぎ残しは、乾いたあとのごわつきの原因としてとても多いものです。
次に補い方です。トリートメントは、地肌ではなく中間から毛先を中心につけます。根元まで塗り込む必要はありません。つけたあとは、目の粗いコームで毛先までなじませると、全体に行きわたります。置き時間は商品の表示に従い、長く置けばよいというものではないと考えてください。そしてここでも、流し残しのないようすすぎます。ぬるつきがなくなり、髪が少し軽くなったと感じるところまでが目安です。
そして乾かし方です。まずタオルで水気を取りますが、こするのではなく、押さえて吸わせます。濡れた髪は柔らかく傷つきやすいので、ここが意外と分かれ目になります。次に洗い流さないトリートメントを、毛先を中心に、手のひらに広げてから薄くなじませます。量は少なめから始めて、足りなければ足すほうが失敗しません。乾かすときは地肌から先に、ドライヤーを一か所に当て続けず、動かしながら風を通します。手のひらで風を受けて熱すぎないと感じる距離を保ってください。仕上げに冷風を数秒当てると、表面が落ち着いて指どおりが変わることがあります。
自然乾燥は避けたほうが無難です。濡れたままの時間が長いほど、キューティクルが開いた状態が続き、こすれによる引っかかりが増えます。染めた直後の数日は、面倒でもきちんと乾かしていただくほうが、あとが楽になります。
それでも手ざわりが戻らないときに、美容室で伝えたいこと
ここまでのケアを一週間ほど続けても、硬さが変わらない、あるいは洗うたびにごわつきが強くなっていくように感じる場合は、ホームケアだけで抱え込まずに、美容師へ相談していただくとよい時期です。
相談するときは、次のことをお伝えいただけると、原因を絞り込みやすくなります。いつから感じ始めたか(染めた当日か、数日たってからか)。どこが気になるか(毛先だけか、全体か)。どんなときに感じるか(濡れているときか、乾いたあとか)。そして、お使いのシャンプーとトリートメントの名前です。市販の白髪染めやカラートリートメントを併用している場合は、それも合わせてお伝えください。染め方の相性が背景にあることがあります。
美容室の側では、状態を見たうえでいくつかの調整ができます。染めたあとに残った傾きを整える後処理を加える、薬剤の強さや種類を見直す、全体染めとリタッチの組み立てを変えて毛先に重なる回数を減らす、といった方法です。毛先の傷みが積み重なっている場合には、負担になっている長さを少し切ったほうが、手ざわりも扱いやすさも変わることがあります。
ひとつだけ、正直にお伝えしておきたいことがあります。一度すり減った髪の表面や、抜けてしまった内側の成分は、元どおりの状態に戻るわけではありません。トリートメントは、足りないところを補って手ざわりを整え、扱いやすくするためのものです。そのうえで、これから伸びてくる髪に同じことを繰り返さないよう、染め方と間隔を組み立て直していく。この二つを同時に進めるのが、遠回りのようでいて、いちばん確かな道すじになります。

染めた日からの数日が、次に染めるまでの手ざわりを決めます
白髪染めは、多くの方にとって数週間ごとに続いていくお付き合いです。だからこそ、染めた直後の数日をどう過ごすかが、次に染めるまでのあいだの手ざわりを左右します。強いものを足すより、洗う・補う・乾かすという毎日の動きを少し整えるほうが、結果として髪は落ち着いていきます。
今日からできることとして、まずはすすぎを長めにすること、トリートメントを毛先中心につけること、そして乾かしきることの三つから始めてみてください。それでも変わらないと感じたときは、ご自身のケアが足りないのだと考え込まず、感じ方をそのまま美容師に伝えていただければと思います。今の髪の状態に合う染め方とケアの組み合わせは、状態を見ながら一緒に選んでいくことができます。気になる方は、お近くの美容師にご相談ください。
大事なポイント
- Q.染めた当日はシャンプーを控えたほうがよいでしょうか?
- A.サロンで染めた日については、当日は流さずに休ませる考え方と、地肌に残ったものを軽く流しておく考え方の両方があります。どちらがよいかは使った薬剤や地肌の状態によって変わりますので、施術のあとに担当の美容師へ確認しておくのがいちばん確実です。ご自宅で市販の白髪染めを使った場合は、説明書の指示に従ってしっかりすすいでください。
- Q.ごわつくときは、いつもより強いトリートメントに変えたほうがよいですか?
- A.いきなり変えるより、まずは今お使いのもので、つける位置と洗い流し方を見直してみてください。ごわつきの感じ方は、油分の量よりも水分の入り方や残った成分に左右されることがあります。それでも変わらないときに、髪の状態に合うものへ切り替える、という順番のほうが、何が効いたのか分かりやすくなります。
- Q.きしみは何日くらいで落ち着くことが多いですか?
- A.感じ方には個人差がありますが、数日から一週間ほどのあいだに少しずつ変わっていく方が多いです。ただ、二週間たっても手ざわりが戻らない、洗うたびに硬くなっていく感じがあるという場合は、ホームケアだけの問題ではないこともあります。次のご来店を待たずに、美容師へ相談していただくとよいと思います。
- Q.白髪染めの頻度が高いと、ごわつきは出やすくなりますか?
- A.染める間隔が短いほど、同じ場所に薬剤が重なる回数は増えます。特に全体を毎回染めている場合、毛先は何度も繰り返し染められていることになります。根元だけのリタッチと全体染めを組み合わせるなど、間隔と染める範囲の組み立て方で負担の重なり方は変えられますので、担当の美容師と相談してみてください。
- Q.ごわつきと一緒に頭皮のかゆみもあります。同じように考えてよいですか?
- A.髪の手ざわりと地肌の感じ方は分けて考えていただくほうが安全です。かゆみや赤みが続く、染めるたびに強くなるといった変化があるときは、ホームケアで様子を見るのではなく、次に染める前に美容師へお伝えください。症状が強い場合や長く続く場合は、自己判断で続けず、皮膚科などの医療機関にご相談ください。
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