ドラッグストアのヘアケアコーナーに立って、棚の前でしばらく動けなくなったことはありませんか。似たようなボトルが並び、どれにも「うるおい」「補修」「しっとり」といった言葉が書かれていて、値段は数百円から数千円まで幅があります。

前に買ったものの名前を思い出せないまま、なんとなく手前にあるものを選んで帰ってきた——そんな経験をお持ちの方は、決して少なくありません。

60代を迎えた髪は、水分を抱える力や頭皮の皮脂の量が少しずつ変わってきます。若いころと同じ感覚で選ぶと「悪くはないけれど、思っていたのとは違う」という結果になりやすいのは、そのためです。

ここでは、売り場の棚の前で何を見て決めればよいのかを、順を追って整理していきます。買い物の前に読んでいただくと、迷う時間がぐっと短くなるはずです。

商品を比べる前に、自分の条件を三つ決める

  • 確かめたいのは「目的」「使う場所」「使い切れる量」の三つ
  • ランキングは候補を絞る出発点にして、最後は自分の条件で決める
  • 毛先の乾きと根元のぺたんこは、製品を分けるより「つける位置」を分けて考える
  • 迷ったら、美容室で今の髪の状態を聞いておくと売り場で見る表示がはっきりする

棚の前で見るのは「目的・使う場所・使い切れる量」の三つ

確かめたいのは三つ

ドラッグストアでトリートメントを選ぶときに確かめたいのは、たった三つです。

  • 目的:今いちばん気になっている悩みは何か。
  • 使う場所:お風呂の中で使うのか、乾かす前に使うのか。
  • 続けやすさ:その量を無理なく使い切れるかどうか。

比べる軸を持つ

この三つを決めてから棚に向かうと、目に入る商品の数が自然と絞られます。逆に言えば、これを決めずに棚の前に立つと、あらゆる商品が候補に見えてしまいます。

パッケージに書かれた言葉はどれも魅力的に作られているので、比べる軸を持たないまま眺めていると、最後は値段かパッケージの印象で決めることになりがちです。

条件を言葉にしておく

大切なのは、商品を比べる前に自分の条件を決めておくことです。「パサついて毛先が広がるのを落ち着かせたい」「お風呂上がりに使うものがほしい」「三か月くらいで使い切れる量がいい」——ここまで言葉にできていれば、棚の前での判断はほとんど終わっています。

あとは、その条件に合う表示を探すだけです。

売り場で確かめる3つのこと|ドラッグストアでトリートメントを選ぶときに順番に確かめる3ステップ

ドラッグストアの棚で選びにくくなってしまう理由

売り場で迷ってしまうのは、選ぶ側の問題ではありません。

商品数と言葉の似通い

  • 商品数が多すぎる:ひとつのメーカーがシリーズを複数展開し、その中でさらに「しっとり」「さらさら」「ダメージ補修」と分かれているので、棚全体では数十種類の選択肢が並ぶことになります。
  • パッケージの言葉が似通っている:「なめらかな指通り」「奥まで届くうるおい」といった表現はどの製品にも使われていて、そこだけを読み比べても違いは見えてきません。こうした言葉は、その製品が目指している仕上がりの方向を伝えるものであって、髪質の合う合わないを示しているわけではないのです。

ランキングと買い間違い

  • ランキングやPOPが目に入る:ランキングは「多くの方に選ばれた」という事実を示す目安にはなりますが、集計のもとになっているのは幅広い年代・髪質の方です。60代の髪が求めるものと、20代30代の髪が求めるものは違って当然なので、順位をそのまま自分の答えとして受け取ると、期待とのズレが生まれやすくなります。順位は候補を絞る出発点として使い、最後は自分の条件で決める——この順番にすると、売り場での判断がぶれにくくなります。
  • 前と同じものを買ったつもりが違っていた:意外と多いご相談です。市販のヘアケアはパッケージのデザインが定期的に変わりますし、同じシリーズの中で色違いのボトルが隣り合って並んでいることも珍しくありません。うろ覚えのまま似た色を手に取ると、しっとり系のつもりがさらさら系だった、ということが起こります。気に入ったものが見つかったら、ボトルの写真をスマートフォンに残しておくと、次の買い物がぐっと確実になります。

商品名より先に、置かれている棚と裏面の表示を見る

インバスとアウトバス

まず確かめたいのは、その製品をどこで使うものなのかという点です。お風呂の中でシャンプーのあとに使って流すものは「インバス」と呼ばれ、シャンプーやコンディショナーと同じ棚に並んでいます。

一方、タオルドライのあとに髪へなじませて流さないものは「アウトバス」と呼ばれ、オイルやミルクとして少し離れた棚に置かれていることが多いです。

この二つは役割がまったく違うので、まず自分がどちらを補いたいのかをはっきりさせておくと、探す範囲が半分になります。

名前の違いと買い方

同じ棚の中でも、「トリートメント」「コンディショナー」「ヘアマスク」と名前が分かれています。おおまかには、次のような違いがあります。

  • コンディショナー:髪の表面を整えることを中心に作られている
  • トリートメント:内側にもうるおいを届けることを意識して作られている
  • ヘアマスク:さらに集中的に使う位置づけのものが多い

毎日使うのか、週に一、二度の特別なケアにするのかで、選ぶ種類が変わってきます。

売り場では、ボトル入りのものと詰め替え用の袋が同じ場所に並んでいます。詰め替えは中身だけなので値段は下がりますが、初めて試す製品の場合はボトル入りから始めるほうが扱いやすいです。

使ってみて自分の髪に合いそうだと感じてから、次を詰め替えでそろえていく流れが無理のない買い方になります。

裏面の成分表示

裏面の成分表示は、細かく読み込む必要はありません。押さえておきたいのは、成分は配合量の多いものから順に並べるのが基本ルールだということです。

つまり、上のほうに並んでいる数個がその製品の性格をよく表しています。早い段階に油分の名前が出てくればしっとりと重めの仕上がりに寄りやすく、水やうるおいを保つ成分が中心なら軽やかな仕上がりに寄りやすい、という見当がつきます。

「ノンシリコン」という表示も、良し悪しではなく仕上がりの方向を示すものと考えてください。指通りのなめらかさを求める方には、シリコンが入ったもののほうが好みに合う場合もあります。

「しっとり」と「ふんわり」、60代の髪が迷いやすい分かれ道

毛先と根元の悩みは同時にある

売り場でいちばん迷いやすいのが、しっとり系とふんわり系のどちらを選ぶかという場面ではないでしょうか。毛先はパサついているのに、根元はぺたんとしてボリュームが出ない——この二つの悩みを同時に抱えている方は、40代以降とても多くいらっしゃいます。

ここで無理にどちらか一方の性格を持つ製品で両方を解決しようとすると、うまくいかないことが多いです。しっとり系をたっぷり全体に使えば毛先は落ち着きますが、根元まで重さが乗ってトップがつぶれて見えやすくなります。

逆にふんわり系を選ぶと根元は軽く仕上がりますが、毛先の乾いた感じは残ります。

つける位置を分ける

解決の糸口は、製品を分けることではなく、つける位置を分けることにあります。トリートメントは基本的に、耳から下の中間から毛先を中心になじませ、根元にはつけないのが目安です。

この使い方を前提にすれば、しっとり系を選んでも根元が重くなりにくくなります。ですから売り場で迷ったときは、「毛先の乾きをどうにかしたいのか」を優先して考えていただくと決めやすくなります。

根元のボリュームは、トリートメントの種類よりも、シャンプーの選び方や乾かし方で変わってくる部分が大きいのです。

季節で選び分ける

季節によって選び分けている方もいらっしゃいます。空気が乾く冬から春先はしっとり寄りに、汗をかいて頭皮がべたつきやすい夏はやや軽めに、といった具合です。

一年中まったく同じものを使い続けなければならない決まりはありませんので、髪や頭皮の感じ方が変わってきたなと思ったら、次の一本で方向を少し変えてみるのもひとつの方法です。

使い切るタイミングは、見直しのよい機会になります。

続けられるかどうかは、容量と一回に使う量で決まる

続けてはじめて変化を感じやすい

三つめの軸である「使い切れる量」は、見落とされがちですが実はとても大事です。ヘアケアは一度使って終わりではなく、続けてはじめて手触りの変化を感じやすくなるものだからです。

どんなに評判のよい製品でも、一本使い切る前に飽きてしまったり、置き場所に困ってしまえば習慣にはなりません。

三か月で使い切れる量

目安として、三か月ほどで無理なく使い切れる量かどうかを考えてみてください。詰め替え用の大容量は一回あたりの値段は下がりますが、開けてから長く置いたものは香りや使い心地が少しずつ変わってきます。

初めて試す製品なら、まず小さいサイズで自分の髪との相性を確かめてから、気に入ったものを詰め替えでそろえるほうが結果的に無駄が出ません。

一回に使う量と、ライン使い

一回に使う量も確認しておきたいところです。パッケージには「さくらんぼ大」「ポンプ二押し」といった目安が書かれていることが多く、そこから逆算すると、その容量がおよそ何か月分にあたるかが見えてきます。

少なすぎると本来の使い心地が出ませんし、多すぎるとべたつきや洗い残しにつながります。書かれている量を守って使うことが、結局はいちばんの近道です。

なお、シャンプーとトリートメントを同じシリーズでそろえる「ライン使い」は、香りや仕上がりの方向がそろうという良さがありますが、必ずそうしなければならないものではありません。

頭皮に合うシャンプーと、毛先に合うトリートメントを別々に選んでいる方もたくさんいらっしゃいます。

買う前に美容室で聞いておくと、迷いが減ること

今の髪の状態を聞いておく

売り場での判断をもっと楽にする方法があります。それは、次に美容室へ行ったときに「今の自分の髪はどういう状態か」を聞いておくことです。

毛先だけが傷んでいるのか、全体的に水分が足りていないのか、それとも頭皮の乾燥が気になる状態なのか。プロの目で見た現状がわかっていると、売り場で見るべき表示がはっきりします。

履歴やふだんのケアを伝える

あわせて、白髪染めやパーマの履歴、ふだんのシャンプーの回数、乾かし方なども伝えておくと、より具体的な話ができます。カラーを繰り返している髪と、そうでない髪では、必要になるケアの方向が変わってくるためです。

「市販のものでも大丈夫でしょうか」と率直に聞いていただいて構いません。目的によっては市販品で十分な場面も多く、状態に合わせて提案を受けられます。

ボトルの写真を見せて相談する

今お使いのボトルの写真をスマートフォンで撮っておいて、それを見せながら相談する方法もおすすめです。実際に使っているものがわかれば、「これは合っていそうなので続けて大丈夫」「毛先の乾きが気になるなら、こちらの使い方を足してみましょう」といった、具体的な話につながります。

売り場でひとりで悩む時間を減らすいちばんの近道は、その前にプロの見立てをひとつ持っておくことなのかもしれません。

仕上がりの方向で選び分ける|求める仕上がりごとに市販トリートメントのタイプを選び分ける目安

次に棚の前に立つときに、決めておきたいひとつのこと

条件を先に決める

ドラッグストアのトリートメント選びは、商品知識を増やすことよりも、自分の条件を先に決めておくことで驚くほど楽になります。

気になる悩みをひとつに絞り、お風呂の中で使うのか乾かす前に使うのかを決め、使い切れる量かどうかを確かめる。この三つが決まっていれば、あとは表示を探すだけの作業になります。

まず決めたいひとつのこと

もし今日ひとつだけ持ち帰っていただくとしたら、「毛先の乾きが気になるのか、根元の重さが気になるのか」を先に決めてから売り場へ向かう、ということです。

この一点がはっきりしているだけで、選ぶ製品も、つける位置も、続け方も自然と定まってきます。それでも迷いが残るときや、白髪染めを続けている髪でどう選べばよいか判断がつかないときは、状態を見たうえでの提案ができますので、気になる方は美容師にご相談ください。

この記事のまとめ

  • 棚の前では、目的・使う場所・使い切れる量の三つを先に決める
  • 表示は、インバスかアウトバスか、成分表示の上のほうを目安に見る
  • 毛先と根元の悩みは、製品を分けるよりつける位置を分けて考える
  • 迷ったら、美容室で今の髪の状態を聞き、気になる方は美容師に相談する