洗い流すトリートメントと、洗い流さないトリートメント。ドラッグストアの棚にはどちらも並んでいて、両方そろえるべきなのか、どちらか一方で足りるのか、迷ったことはないでしょうか。40代を過ぎたころから髪のパサつきが気になり始め、あれこれ試してきた方ほど、洗面所に使いかけの容器が何本も残っている——そんなお話をよく伺います。
「どちらも髪をしっとりさせるものなら、片方でいいのでは」と感じるのは自然なことです。ただ、この2つは同じ役目を争っているものではありません。使う場所も、使う目的も、そもそも設計が違います。ここを一度整理しておくと、買い足すべきものと減らしてよいものがはっきりして、毎日のケアがぐっと軽くなります。今日は、2つの違いと、両方必要な髪・どちらかで足りる髪の見分け方を、順を追って整理していきます。
お風呂の中で補い、お風呂を出てから守る
先に要点をお伝えします。洗い流すトリートメントは、お風呂の中で髪の内側に足りないものを補う係です。洗い流さないトリートメントは、お風呂を出てから、乾かす熱や日中の乾燥・摩擦から髪の表面を守る係です。補ってから、守る。この順番で並んでいる別の役割だと考えると、迷いにくくなります。
ですから、基本の形は「両方使う」です。補うだけで守らないと、せっかく整えた手ざわりが乾かす途中で失われやすくなります。逆に守るだけで補わないと、表面はまとまっても中はスカスカのままで、伸びてきた毛先からまたパサついてきます。どちらか一方だけを厚く重ねるより、それぞれを適量ずつ使ったほうが軽い仕上がりになりやすいのです。
ただし、これはあくまで基本の形です。髪の太さ・長さ・傷みの出どころによっては、片方に寄せたほうが扱いやすくなる方もいらっしゃいます。全員が2本そろえなければいけない、という話ではありません。ご自身がどちらのタイプかを、この先で確かめてみてください。

2つのトリートメントは、髪のどこで働いているのか
まず、それぞれがどういう前提で作られているかを見ていきます。ここが分かると、なぜ置き換えが効かないのかが見えてきます。
洗い流すトリートメント(インバストリートメントとも呼ばれます)は、最後にすすぐことを前提に作られています。すすいでも髪に残ってほしい成分を選び、水になじみやすい設計にしてあるものが多く、油分は控えめです。シャンプーのあとの髪は、水分を含んで表面がやわらいだ状態になっています。そのタイミングで、水分や油分、髪を構成するタンパク質に近い成分などを内側寄りに届けるのが役目です。
よくご質問をいただくのが「どのくらい置けばよいか」という点です。目安は、製品に書かれている時間です。5分と書かれているものを30分置いたからといって、置いた時間に比例して手ざわりが良くなっていくわけではありません。それよりも、髪の水気を軽くきってからつける、毛先から中間に向かってつける、目の粗いコームで軽く通す、といった手順のほうが、受け取り方に差が出やすい部分です。時間を延ばすことで整えようとするより、手順を整えるほうが近道になります。
洗い流さないトリートメント(アウトバストリートメント)は、すすがないことが前提です。だからこそ、髪の上に残って働く成分が入っています。タオルドライのあとの濡れた髪につけて、そのまま乾かす。ドライヤーの熱、ブラッシングの摩擦、日中の乾燥や紫外線といった、これから受ける負担のあいだに一枚はさむイメージです。オイル・ミルク・クリーム・バームと形状が分かれているのは、髪の量や仕上がりの好みに合わせて重さを選べるようにしてあるためです。
形状が分かれている点についても少し触れておきます。同じ「洗い流さないトリートメント」でも、さらさらと軽く広がるオイル、水分を含んでなじみやすいミルク、こっくりと重さのあるクリームやバームがあります。髪の量が多くて広がる方は重めのものが落ち着きやすく、細くてやわらかい方は軽いミルクのほうが扱いやすい——おおまかにはそうした傾向があります。ここは仕上がりの好みも大きく関わる部分なので、まずは今お使いのものが軽いのか重いのかを確かめてみるところから始めていただければ十分です。
内側を補う係と、外側を守る係。片方で両方の仕事をこなそうとすると、どうしても無理が出ます。洗い流さないものをたっぷりつけて内側まで補おうとすればべたつきますし、洗い流すものだけで乾かす熱をしのごうとしても、すすいだ時点で表面に残る量はごくわずかです。役割が違うから、置き換えが効かないのです。
両方そろえたい髪、どちらかで足りる髪
ここからは、ご自身の髪がどちらのタイプかを見ていきます。当てはまる項目が多いほうを目安にしてください。
両方そろえたほうが変化を感じやすい方
白髪染めを定期的に続けている方は、両方あったほうが扱いやすくなることが多いです。染める作業を重ねている毛先は、根元より長く負担を受け続けている部分です。内側の補いと表面の保護、どちらも欠けると手ざわりの差が出やすくなります。
肩より長い方も同じです。毛先は、単純に「その髪が生えてから時間が経っている場所」です。長いほど毛先は古く、シャンプー・ドライヤー・摩擦を受けた回数が多くなります。ここには補いと守りの両方が要ります。
ドライヤーやヘアアイロンを毎日使う方、日中に髪が広がる・毛先がパサつくと感じる方も、洗い流さないトリートメントを足したほうが落ち着きやすくなります。熱と乾燥は毎日のことなので、その都度守る側の手当てがあると差が出てきます。
どちらかに寄せてよい方
髪が細くやわらかく、重さが出るとすぐぺたんとしてしまう方は、洗い流さないトリートメントを軽いミルクの少量に絞るか、毛先だけにとどめるほうが扱いやすくなります。この場合は洗い流すトリートメントを中心に考えます。
頭皮のべたつきやニオイが気になる方も、洗い流さないトリートメントは毛先だけに限る形がおすすめです。頭皮に近い位置に油分が残ると、その日の過ごし方によっては不快感につながることがあります。
ショートで毛先が新しい方は、洗い流すトリートメントだけで整うこともあります。カットの周期が短く、傷んだ部分が定期的に切り落とされていく髪は、内側の補いだけで手ざわりが保てる場合があるのです。
併用するときの順番と量|重ねすぎないための目安
両方使うと決めた場合の並べ方を整理します。順番はシンプルです。シャンプー、洗い流すトリートメント、すすぐ、タオルで水気をとる、洗い流さないトリートメント、乾かす。この流れになります。
量については、洗い流さないトリートメントのほうに気をつけてください。おすすめは「少なめから始めて、足りないと感じたら足す」順番です。多すぎたものは減らせませんが、少なすぎたものは足せます。手のひらに広げてから、毛先を包むようにつけ、中間まで手を移していく。根元と頭皮にはつけません。前髪や顔まわりは、手に残った分をなでる程度で足ります。
洗い流すトリートメントも、頭皮につける必要はありません。毛先から中間が中心です。頭皮に必要なのは洗い流すトリートメントではなく、シャンプーでの洗い方と、すすぎ残しをつくらないことです。
重ねすぎているサインは、いくつかあります。朝起きたときに根元がぺたんとしている。乾かしても髪が立ち上がらない。スタイリングが決まりにくい。夕方に髪が重く感じる。頭皮にニオイやべたつきが出る。こうした変化があるときは、成分が合っていないというより、単純に量が多いか、つける位置が根元寄りになっていることが多いものです。まず量を半分にしてみて、それで軽くなるかを確かめてみてください。
季節によって量を変えてよいか、というご質問もいただきます。変えて構いません。汗をかく時期は洗い流さないトリートメントを軽めに、空気が乾いてくる時期はやや多めに——そのくらいのゆるやかな調整で十分です。ちょうど今の時期は、夏のあいだに受けた紫外線や汗、エアコンの乾燥が毛先に残っていることが多く、いつもの量では足りないと感じる方が増えてきます。同じ製品でも、その日の髪の乾き具合で必要な量は変わるものなので、決めた量を守るというより、髪の様子を見て加減するくらいの気持ちでいてください。
もうひとつ、意外に見落とされやすいのがすすぎです。洗い流すトリートメントは、ぬるつきがなくなるまですすいだほうが、その後の乾かし上がりが軽くなります。「もったいないから軽くすすぐ」という声も伺いますが、残しても手ざわりが良くなるわけではなく、頭皮の不快感につながることがあります。
手ざわりが変わらないと感じたときに見直すところ
両方そろえて、量も位置も整えた。それでも手ざわりが変わらない——そう感じるときは、トリートメント以外に原因がある場合があります。
まず乾かし方です。自然乾燥や半乾きのまま眠ると、せっかく守ったはずの表面が長い時間濡れた状態で置かれ、摩擦にも弱くなります。根元から乾かし、毛先は最後に短く。冷風で仕上げると表面が落ち着きやすくなります。
次にシャンプーです。洗浄力が今の髪に対して強すぎると、トリートメントで補う量よりも失う量が上回ります。トリートメントを足すより、シャンプーを穏やかなものに替えたほうが早く変わるケースは少なくありません。
そして、傷みの出どころです。カラーの薬剤や間隔、熱の当て方、ブラッシングの摩擦、カットからの経過。原因が違えば、打ち手も変わります。毛先が裂けている・切れ毛が増えているといった状態は、ホームケアで手ざわりを整えることはできても、その部分そのものが元の状態に戻るわけではありません。どこまでをケアで支え、どこからをカットで整えるか——この線引きは、髪を実際に見てもらうのが一番確かです。
最後に、冒頭でお話しした「使いかけが何本も残っている」状態についても触れておきます。数が多いこと自体が悪いわけではありませんが、日によって違うものを使っていると、何が合っていて何が合わなかったのかが分からなくなります。おすすめは、洗い流すもの・洗い流さないものを1本ずつに絞って、2週間ほど同じ組み合わせで続けてみることです。そのうえで手ざわりを比べると、残すものと手放すものが見えてきます。試す本数を増やすより、確かめる期間を決めるほうが答えは早く出ます。
私たちも、カウンセリングでは今お使いのものを伺うところから始めます。何をどのくらい、どのタイミングでつけているか。それだけで、足すべきものと減らしてよいものが見えてくることが多いのです。三島市や沼津市の周辺でお店を探されている方も、今のケアを持ち込むつもりでご相談いただければと思います。

今日のケアは、どちらから見直すか
洗い流すトリートメントと洗い流さないトリートメントは、内側を補う係と外側を守る係です。競合する商品ではないので、基本は両方を適量ずつ。ただし髪が細い方・頭皮のべたつきが気になる方・毛先が新しいショートの方は、片方に寄せたほうが軽く扱えることもあります。ご自身がどちらに近いかを目安に、本数を決めていただければ十分です。
見直す順番に迷ったら、まずは量とつける位置からで構いません。洗い流さないトリートメントを半分にして毛先中心に変える。洗い流すトリートメントは表示どおりの時間で、ぬるつきが残らないようすすぐ。これだけでも、翌朝の手ざわりは変わってきます。それでも変化を感じにくいときは、シャンプーや乾かし方、あるいは傷みの出どころに目を向けてみてください。今お使いのものを持ち込んで、髪の状態と合わせてご相談ください。




