「シャンプーを使わずにお湯だけで洗う湯シャンが頭皮にいいと聞いた」「毎日のシャンプーで乾燥している気がするから、試してみようか迷っている」——40〜60代の女性から、湯シャンについてのご相談をいただくことが増えてきました。雑誌やSNSで見かけて興味を持ったものの、本当に自分の頭皮に合うのか、においやべたつきは大丈夫なのか、判断がつかないという方も多いようです。

白髪染めを続けている方にとっては、「洗浄成分を使わなければ色持ちもよくなるのでは」という期待もあるかもしれません。一方で、頭皮の汚れがきちんと落ちるのかという不安も残ります。この記事では、湯シャンでできること・できないことを整理したうえで、どんな方に向いていて、どんな方には向きにくいのか、そして無理なく取り入れる手順を、美容師の視点でお伝えします。

すべてを置き換えず、シャンプーの日と組み合わせる

先に要点からお伝えすると、湯シャンは「シャンプーをやめる方法」としてより、「シャンプーの回数を調整するための選択肢」として取り入れるほうが、40〜60代の頭皮には合わせやすい方法です。お湯だけでも汗やほこりの多くは流せますが、時間がたった皮脂やスタイリング剤は残りやすく、毎日を完全に湯シャンにすると、においやかゆみにつながる方もいらっしゃいます。

向いているかどうかの目安は、洗った翌日の頭皮の状態です。シャンプーのあとに頭皮がつっぱる、細かい粉のようなフケが出る、かゆみを感じやすいという方は、洗浄力が今の頭皮に強く感じられている可能性があり、湯シャンの日をはさむことで心地よく過ごせる場合があります。反対に、夕方になると根元がべたつく、においが気になるという方は、皮脂が落ちきらない湯シャンだけでは不向きなことが多いでしょう。

取り入れ方としておすすめしたいのは、週に1〜2日だけ湯シャンの日をつくり、2週間ほど頭皮の様子を見ることです。お湯は38度前後のぬるめにして、シャンプーのときより長めに、指の腹で頭皮を動かすように流します。違和感がなければ日数を少しずつ増やし、べたつきやにおいが出てきたらシャンプーの日を戻す。頭皮の反応を見ながら割合を決めていくのが、失敗しにくい進め方です。

髪の湯シャンを取り入れる3つの手順|シャンプーをやめずに、お湯だけで髪と頭皮を洗う日を少しずつ組み合わせる手順

湯シャンで落とせるもの・残りやすいもの

湯シャンを考えるときにまず知っておきたいのが、お湯だけで何が落ちて、何が残りやすいのかということです。

汗やほこり、水に溶けやすい汚れは、ぬるめのお湯でていねいに流すことで、かなりの部分を落とせるといわれています。シャンプーの前に行う「予洗い」をしっかりするだけで汚れの多くが流れる、という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。湯シャンは、この予洗いを主役にした洗い方と考えるとイメージしやすいでしょう。

一方で、お湯だけでは残りやすいものもあります。頭皮から出た皮脂は、時間がたつと酸化して落ちにくくなり、においの原因になることがあります。また、ワックスやスプレー、オイルなどのスタイリング剤は油分を含むものが多く、お湯だけでは髪や頭皮に残りがちです。日焼け止めを髪や分け目に使った日も同じように考えておいたほうが安心です。

つまり湯シャンが力を発揮しやすいのは、「汗をかいたけれどスタイリング剤は使っていない日」「前日にシャンプーで洗っていて、皮脂がそれほどたまっていない日」です。反対に、スタイリング剤をしっかり使った日や、2日以上シャンプーをしていない日は、洗浄成分のあるシャンプーで洗っておくほうが、頭皮環境を整えるサポートになります。

40〜60代で湯シャンに関心が向きやすい理由

若い頃は毎日シャンプーをしても平気だったのに、最近は乾燥やかゆみが気になる——湯シャンに関心を持つ方の多くは、そうした変化をきっかけにしています。

年齢を重ねると、頭皮の皮脂の量や水分を保つ働きは少しずつ変化していくといわれています。以前と同じ洗浄力のシャンプーでも、今の頭皮には強く感じられることがあり、洗ったあとのつっぱりや乾燥として現れやすくなります。これは手入れが足りないのではなく、誰にでも起こる自然な変化です。

白髪染めを続けていることも関わってきます。繰り返し染めている髪は水分が逃げやすくなりやすく、洗浄成分で洗うたびに色味も少しずつ流れていきます。そのため「シャンプーを減らせば、乾燥も色落ちもゆるやかになるのでは」と考えるのは、理にかなった発想でもあります。ただ、ここで一気に湯シャンだけに切り替えてしまうと、頭皮の皮脂が残ってべたつきやにおいが出てしまい、かえって落ち着かなくなるという方も少なくありません。

また、髪が細くなってきた、ボリュームが出にくくなったと感じている方の場合、根元に皮脂が残ると髪がぺたんとしやすくなります。湯シャンを取り入れたら根元がつぶれて見えるようになった、という声もあります。乾燥が気になる毛先と、皮脂が出やすい頭皮とでは、必要なケアが違うことを意識しておくと、湯シャンとの付き合い方が見えてきます。

向いている人・向きにくい人の見分け方

湯シャンの向き不向きは、年齢よりも、今の頭皮と髪の状態、そして生活の中身で決まってきます。

向いていることが多いのは、シャンプーのあとに頭皮のつっぱりや乾燥を感じやすい方、細かいフケやかゆみが気になっている方、汗はかくけれどスタイリング剤はほとんど使わない方です。白髪染めの色持ちを少しでも保ちたい方にとっても、洗浄成分を使わない日があることは取り入れやすい工夫といえます。

一方で向きにくいのは、夕方になると根元がべたつく方、頭皮のにおいが気になりやすい方、ワックスやスプレーを毎日のように使う方です。また、髪が長く量が多い方は、お湯だけで頭皮全体をしっかり流すのに時間がかかり、流しきれない部分が残りやすくなります。

判断に迷うときは、次の三つを目安にしてみてください。ひとつ目は、湯シャンをした翌朝に根元のべたつきが気にならないか。ふたつ目は、においやかゆみが出ていないか。三つ目は、分け目や頭頂部がぺたんとしていないか。この三つに問題がなければ、今の頭皮には湯シャンの日をはさむ余地があると考えてよいでしょう。どれかが気になる場合は、湯シャンの日を減らすか、シャンプーの量や洗浄力を見直す方向で調整するほうが合っているかもしれません。

季節によって向き不向きが入れ替わることも覚えておきたいところです。汗と皮脂が増える夏は、湯シャンの日を減らしてシャンプーの日を多めに。空気が乾燥して頭皮がつっぱりやすい秋から冬にかけては、湯シャンの日を少し増やす。同じ方でも、一年を通して同じ割合でなければいけない理由はありません。更年期の前後など、体調の変化で頭皮の感じ方が変わりやすい時期も、その時々の状態に合わせて割合を見直していただいて構いません。

湯シャンの日の洗い方と、組み合わせたいケア

湯シャンをするときは、シャンプーの日以上に「流し方」がポイントになります。

まず、洗う前に乾いた状態でブラッシングをして、髪のもつれをほどき、表面のほこりを浮かせておきます。そのうえで、38度前後のぬるめのお湯を、頭皮に直接届くように分け目を変えながらかけていきます。熱いお湯は汚れが落ちやすく感じられますが、頭皮の乾燥や、白髪染めの色味が流れやすくなることにつながるので、ぬるめを目安にしてください。

流すときは、指の腹で頭皮を軽く動かすようにして、生え際・耳の後ろ・襟足まで、2〜3分ほどかけてていねいに流します。爪を立ててこするのは、頭皮への当たりが強くなるので避けましょう。耳の後ろや襟足は皮脂がたまりやすく、においが出やすい場所なので、少し長めに流すくらいがちょうどよいでしょう。

タイミングとしては、湯船につかって体が温まったあとに流すのがおすすめです。湯気で頭皮がやわらかくなり、皮脂もゆるみやすくなるため、同じ時間でも流しやすく感じられます。シャワーの水圧が強すぎる場合は、手のひらでお湯を受けながら頭皮にかけると、当たりがやわらぎます。髪の長い方は、ひとつにまとめた状態ではなく、髪を左右や前後に分けて、根元の地肌にお湯が届いているかを確かめながら進めてください。

毛先のパサつきが気になる方は、湯シャンの日もトリートメントを使っていただいて構いません。ただし、頭皮にはつけず、耳より下の髪を中心になじませてから、ぬるつきが残らないようにすすぎます。洗ったあとは、タオルで押さえるように水気を取り、根元から手早く乾かします。湿ったままの頭皮は蒸れやすく、においの原因になりやすいので、湯シャンの日こそ乾かすところまでをひとつの流れとして考えてください。

美容室で相談するときに伝えたいこと

自分で試してみても、湯シャンが合っているのかどうか判断がつかない、べたつきや乾燥がなかなか落ち着かない——そんなときは、美容室で相談してみるのもひとつの方法です。美容師はシャンプー台で頭皮に直接触れながら、皮脂の出方や乾燥の具合を確かめることができます。

相談されるときは、「湯シャンを週に何日しているか」「始めてからどのくらいたったか」「翌朝の根元の状態」「においやかゆみの有無」を伝えていただくと、状態を整理しやすくなります。あわせて、ふだんのシャンプーの商品名や、白髪染めの頻度、スタイリング剤を使う日数も共有していただけると、湯シャンを続けるか、シャンプーの選び方を見直すかといった判断がしやすくなります。

白髪染めの色持ちが気になって湯シャンを考えている方は、次に染めるときの薬剤の選び方や、施術後の数日の洗い方もあわせて相談しておくと安心です。湯シャンだけに頼らなくても、洗浄のやさしいシャンプーや、お湯の温度の工夫で色持ちを保ちやすくなる方法はいくつもあります。三島市や沼津市周辺で美容室を探す場合も、商品をすすめるだけでなく、洗い方の相談まで一緒に考えてくれるかどうかを目安にすると選びやすくなります。

湯シャンの日・シャンプーの日の選び分け|その日の髪と頭皮の汚れ方に合わせて、お湯だけで洗うかシャンプーで洗うかを決める目安

頭皮の声を聞きながら、自分に合う割合を見つける

湯シャンは、シャンプーをやめるための方法というより、洗浄の負担を調整するための選択肢のひとつです。汗やほこりはお湯で流せても、酸化した皮脂やスタイリング剤は残りやすいため、シャンプーの日と組み合わせて使うほうが、40〜60代の頭皮には取り入れやすいでしょう。向き不向きは、翌朝のべたつき・においやかゆみ・根元のボリュームという三つの様子で見分けられます。

始めるなら、週に1〜2日だけ湯シャンの日をつくり、38度前後のぬるめのお湯で長めに流すところからで十分です。頭皮の様子を見ながら日数を増やしたり戻したりして、今の自分にちょうどよい割合を探していきましょう。湯シャンが合っているか迷うとき、乾燥やべたつき、白髪染めの色持ちが気になるときは、ふだんの洗い方や使っているシャンプーを美容師にお伝えいただきながら、ご相談ください。