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白髪染めの色が抜けて赤っぽくなる方へ|色味選びで変わる退色の見え方

白髪染めの色が抜けて赤っぽくなる方へ|色味選びで変わる退色の見え方の内容を示すアイソメトリック図解

「白髪染めをして2〜3週間ほど経つと、色が薄くなるだけでなく、なんだか赤茶っぽく見えてくる」「暗めに染めたはずなのに、気づけば明るくぼやけた色になっている」。白髪染めを続けている方から、こうしたご相談をよくいただきます。色が徐々に薄くなるだけならまだ想像がつきますが、染めた日とはまるで別の色味に変わっていくことに戸惑う方は少なくありません。

この変化には、髪の中で何が起きているのかという理由がはっきりあります。そして、抜けたときにどんな色に見えるかは、実は染める前の色味と明るさの選び方でかなりの部分が決まっています。この記事では、白髪染めの色が抜けると赤みや黄みが出てくる仕組みと、抜けた後の見え方まで見越した色選びの考え方を、美容師の視点で整理します。

抜けた後にどう見えるかは、染める前の色味選びで変えられます

先に要点をお伝えします。ヘアカラーの色は1色の絵の具のようなものではなく、複数の色素を混ぜ合わせて作られています。そしてこの色素は、すべてが同じ速さで抜けていくわけではありません。青や紫といった寒色系の色素は比較的早く流れ出やすく、赤やオレンジといった暖色系の色素は髪の中に残りやすい傾向があります。混ざっていた色のうち一部が先に減るのですから、残った色に偏って見えてくるのは自然なことです。

さらに白髪染めは、白髪に色を入れると同時に、黒髪の側を少し明るくしながら染めています。髪の中にもともとある色素は、明るくなっていく過程で赤みやオレンジみを帯びた状態を通ります。つまり、残った暖色系の染料と、下地に現れてきた赤みが重なって見える——これが「抜けてくると赤茶っぽくなる」の正体です。髪が傷んだから赤くなるのではなく、順番として先に見えてくる色がある、と考えるほうが実際に近いといえます。

そうであれば、打つ手も見えてきます。抜けた後に出てくる色をあらかじめ想定して、打ち消す側の色味を少し多めに含ませておくこと。そして、明るさを欲張りすぎない設定にしておくこと。この2つを染める前に決めておくだけで、2〜3週間後の鏡の中の印象はずいぶん変わります。色持ちは染めた後のケアだけで決まるものではなく、椅子に座った時点ですでに半分が決まっている、と考えてみてください。

色は寒色から先に抜けます|白髪染めの色素が抜けて赤みが見えてくるまでの流れ

色が抜けると赤みが出てくる仕組み

もう少しだけ、髪の中で起きていることを見ておきましょう。仕組みが分かると、美容師に伝える言葉も選びやすくなります。

一般的な白髪染めは、髪の表面を少し開いて内部に染料を届け、そこで発色させる仕組みになっています。このとき使われる染料は1種類ではありません。赤み、黄み、青み、それぞれの色素を配合して、ブラウンやアッシュブラウンといった色を組み立てています。ブラウンという色は単独で存在しているのではなく、複数の色を混ぜた結果として茶色に見えている、というイメージです。

問題は、この配合された色素が均等に減っていくわけではないという点です。分子の大きさや性質の違いから、青みや紫みの色素は洗髪のたびに比較的早く流れ出ていきます。一方で赤みやオレンジみの色素は髪の内部にとどまりやすく、最後まで残る傾向があります。染めた直後は寒色と暖色が釣り合ってブラウンに見えていたのに、寒色側が先に減ると、釣り合いが崩れて暖色寄りに傾く——これが1つ目の理由です。

2つ目は、下地の変化です。白髪染めの多くは、白髪をしっかり染めるだけでなく、黒髪の部分もわずかに明るくしながら色を入れています。髪の中の色素は、明るくなっていく段階で赤み、次いでオレンジみ、さらに黄みへと見え方が移っていきます。染料がしっかり入っている間はこの下地が隠れていますが、染料が減ってくると隠していたものが透けて見えるようになります。表面の色が薄くなるのと同時に、下から別の色が出てくるという二重の変化が起きているわけです。

この2つが重なるため、退色は「単に色が薄くなる」のではなく「色味が変わる」という形で目に見えてきます。染めた直後の落ち着いた色と、3週間後の赤茶けた色。同じ髪なのに印象が変わって感じられるのは、気のせいでも髪質の問題でもありません。

なお、この進み方は洗髪の回数や湯の温度、紫外線を受けた量、ヘアアイロンの使用頻度によっても変わります。同じ薬剤を使っていても、夏と冬、あるいは毎日洗う方と2日に1度の方では、見え方が変わるタイミングにずれが生まれます。

白髪の量によって「明るく」見えるか「赤く」見えるかが変わります

同じように退色していても、「赤茶っぽくなった」と感じる方と「黄ばんで明るくなった」と感じる方がいます。この違いを分けているのが、白髪の割合です。

白髪はもともと髪の中の色素が少ない状態です。染料が入っているうちは周囲となじんで見えますが、その染料が減ってくると、隠すものがない分だけ下地の明るさがそのまま出てきます。黒髪のように赤みの下地を持っていないため、白髪の多い部分は退色が進むと黄ばんで明るく見えやすいのです。顔まわりや分け目など、白髪が集まりやすい場所ほどこの傾向は目立ちます。

反対に、まだ黒髪の割合が多い部分では、下地の赤みやオレンジみが出てくるため、赤茶けた印象に傾きます。つまり、白髪の多い場所と少ない場所が混在していると、退色が進むにつれて「明るく黄ばんだ部分」と「赤茶けた部分」が同じ頭の中に同時に現れることになります。全体がぼんやりとちぐはぐに見えてくるのは、このためです。

ここが色味選びで少し悩ましいところでもあります。赤みを抑えたいからと寒色系を強く入れると、白髪の多い部分では色が沈んで暗く見えたり、逆に思ったより染まっていないように感じられたりすることがあります。白髪は染料の影響をそのまま受けやすいため、黒髪よりも色味の効き方が強く出るのです。

ですから、「赤みが気になる」というご相談をいただいたときも、白髪の割合を見ずに寒色を足すという答えにはなりません。どのあたりに白髪が多いのか、その部分は今どんな色に変化しているのか。そこを確かめたうえで、場所ごとに配分を変えるという考え方のほうが、結果として自然な仕上がりに近づきます。ご自身でも、鏡を見るときに「明るくなってきた部分」と「赤くなってきた部分」がどこなのかを一度分けて見てみると、伝えるときの手がかりになります。

抜けた後まで見越して、色味と明るさを決める

ここからは、実際に染めるときの選び方です。考える軸は大きく2つ、明るさ(トーン)色味です。

まず明るさです。明るい仕上がりを選ぶほど、髪の中の色素を持ち上げる度合いが大きくなり、下地の赤みやオレンジみが顔を出しやすい状態になります。同時に、明るい色は入っている染料そのものの量も暗い色より少なくなるため、抜けたときの変化が目に見えやすくなります。「明るくしたら色落ちが早くなった気がする」という感覚は、実際に起きている現象です。

とはいえ、暗く染めればよいという話でもありません。暗い色は色持ちの面では有利ですが、伸びてきた白髪との境目がはっきりしやすく、根元が気になり始めるのが早くなります。顔まわりの印象も重たくなりがちです。色持ちと根元の目立ちにくさは、ある程度トレードオフの関係にあると考えて、どちらを優先したいかを決めておくと選びやすくなります。次に染められるのがいつ頃かを踏まえて逆算するのも、現実的な決め方です。

次に色味です。退色したときに赤みが出やすいと分かっているなら、あらかじめ打ち消す側の色をわずかに含ませておくという設計ができます。赤みに対しては青緑寄りの色味、黄みに対しては紫寄りの色味が打ち消す方向にはたらきます。アッシュ系やマット系と呼ばれる色は、こうした役割を担っています。染めた直後にはっきりと分かるほど入れる必要はなく、退色が進んだときにちょうど釣り合うくらいを狙って仕込んでおく、という考え方です。

ただし前の項で触れたとおり、白髪の割合が高い部分では色味が強く出ます。全体に同じ配分をのせると、白髪の多い場所だけくすんで見えることがあります。根元と毛先、白髪の多い場所と少ない場所で薬剤を分けるという方法もあるので、「全体に一つの色を塗るもの」と考えすぎないほうが選択肢は広がります。

そして、染めた後のケアも設計の一部です。熱いお湯を避けてぬるま湯で洗う、洗った後は早めに乾かす、紫外線の強い時季は帽子や日傘を取り入れる——こうした基本のケアは、寒色系の色素が流れ出るペースをゆるやかにしてくれます。赤みや黄みを抑えるタイプのカラーシャンプーを週に1〜2回取り入れる方法もありますが、毎日使うと今度は暗く沈むこともあるため、頻度は様子を見ながら決めてください。

なお、頭皮がしみる、かゆみが続くといったサインがあるときは、色味の設計よりもそちらを先に相談してください。刺激を感じにくい方法を選ぶことは十分に可能ですし、負担を抑えやすい薬剤を使う場合は色持ちの感じ方も変わってきます。何を優先したいかを伝えておくと、無理のない組み立てを提案してもらいやすくなります。

次に染めるときに伝えると、退色まで含めた設計ができます

退色の出方は、次の施術で調整できる部分が多くあります。そのために伝えていただきたいのは、専門的な言葉ではなく、ご自身が鏡で見て感じたことです。

  • どんな色に変わっていったか:赤茶っぽくなったのか、黄ばんで明るくなったのか。この一言だけで、次に仕込む色味の方向が決まります。

  • いつ頃から気になり始めたか:1週間なのか3週間なのかで、明るさの設定を見直すかどうかが変わってきます。

  • どこから変わってきたか:顔まわりなのか、毛先なのか、全体なのか。白髪の分布と重ねて考える手がかりになります。

  • 次はいつ頃染められそうか:次回までの間隔が分かると、そこまで持たせる前提で明るさと色味を組み立てられます。

これらが分かると、たとえば「退色で赤みが出やすいので、青緑寄りの色味をわずかに含ませておく」「3週間で気になるなら、今回は半トーン落として様子を見る」「白髪の多い顔まわりだけ、寒色を控えめにして沈まないようにする」といった調整につながります。同じ「白髪染め」という言葉でも、中身は毎回変えられるものだと知っておくだけで、相談の言葉が出てきやすくなります。

もうひとつ、覚えておいていただきたいことがあります。前回の色がどれだけ毛先に残っているかによって、同じ薬剤でも仕上がりは変わります。何度も全体染めを重ねてきた毛先には色が蓄積していることが多く、その上に同じ色をのせると暗く沈みやすくなります。全体染めとリタッチ(根元染め)をどう組み合わせるかは、退色の見え方とも直結しているので、あわせて相談してみてください。

退色を見越した色選び3つ|染める前に決めておきたい明るさと色味の目安

抜けた後の色まで含めて選ぶと、次の予約までが心地よくなります

白髪染めの色が抜けると赤みや黄みが出てくるのは、髪が傷んだからでも、選んだ薬剤が間違っていたからでもありません。混ぜ合わせた色素のうち寒色側が先に抜けること、そして明るくする過程で現れた下地の色が透けてくること。この2つが重なった、順番どおりの変化です。白髪の多い部分では黄ばんで明るく、黒髪の多い部分では赤茶けて——同じ頭の中で違う見え方が同時に起きるのも、下地の違いによるものです。

仕組みが分かれば、選び方も変わります。明るさをどこに置くか、打ち消す色味をどれくらい含ませるか、白髪の多い場所をどう扱うか。この3つを染める前に決めておけば、2〜3週間後に鏡を見たときの気持ちがずいぶん軽くなります。次に染めるまでの日々をどう過ごすかまで含めて色を選ぶ、という考え方をぜひ持ってみてください。退色の出方で気になることがあれば、遠慮なく美容師にご相談ください。

大事なポイント

Q.白髪染めをしてしばらくすると赤茶っぽくなるのは、薬剤が合っていないということでしょうか?
A.薬剤が合っていないというより、色素の抜け方の順番によるものと考えるほうが自然です。ヘアカラーは複数の色素を混ぜて作られており、青や紫といった寒色系は早く抜け、赤やオレンジといった暖色系は残りやすい傾向があります。加えて、髪を明るくする過程で下地の赤みが現れるため、染料が減ってくると赤茶に見えやすくなります。染めるときにこの傾向を伝えておけば、色味の配分で見え方を調整できます。
Q.アッシュ系を選べば、赤みは出にくくなりますか?
A.赤みを打ち消す方向にはたらくため、退色したときの見え方はやわらぎやすくなります。ただし白髪の割合が高い方の場合、寒色を強くしすぎると染まり自体が弱く見えたり、くすんだ印象になることもあります。白髪の量や普段の光の当たり方によって最適な配分は変わるので、「赤くなるのが気になる」と伝えたうえで加減を相談するのがおすすめです。
Q.明るめの白髪染めにすると、色落ちも早く感じるようになりますか?
A.そう感じる方は多いです。明るい仕上がりにするほど髪の中の色素を持ち上げる度合いが大きくなり、下地の赤みやオレンジみが出やすい状態になります。同時に、入っている染料の量そのものも暗い色より少なくなるため、抜けたときの変化が目に見えやすくなります。明るさを楽しみたい場合は、次に染めるまでの間隔やホームケアとセットで考えておくと無理がありません。
Q.退色して赤くなった髪は、自宅のケアで色味を戻せますか?
A.完全に染めた直後の状態へ戻すのは難しいものの、進み方をゆるやかにしたり、色味を少し補ったりすることはできます。ぬるま湯で洗う、乾かすまでの時間を短くするといった基本のケアに加え、赤みや黄みを抑えるタイプのカラーシャンプーやカラートリートメントを部分的に使う方法があります。ただし入り方には個人差があるため、短い時間から試して様子を見るほうが安心です。
Q.毎回同じ色をお願いしているのに、退色の見え方が変わるのはなぜでしょうか?
A.髪の状態と季節が毎回同じではないためです。前回の色がどれだけ毛先に残っているか、白髪の割合が増えていないか、夏場に紫外線をどれだけ受けたか——こうした条件が変われば、同じ薬剤でも抜けた後の見え方は変わります。前回どんな色に変化したかを覚えておいて伝えていただけると、その差を織り込んだ調整がしやすくなります。

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